ショーチューというのは、軍曹殿の好きな酒らしい。そんなことは前々から知っているのだが、ジョシュアは全く悪びれない。
「ワンカップで二本ありますからいいでしょう!」
「貴様ああ! 任務中に何を考えているかー!」
 今日はいつもより、激昂具合がやたら激しい。
「軍曹殿も飲みませんか? あ、運転中は駄目ですね」
 ジョシュアは平然と言って、きついアルコールを流し込む。癖があるが、なかなか旨い。
「うまいですよ。軍曹殿もいかが?」
「貴様! 飲酒運転が危ないことは知っているだろうが!」
「わかっています」
「オノレ! 覚えていろ、ジョシュア!」
 わざとらしいジョシュアの様子に、軍曹殿は、くうっと歯噛みする。ちょっとだけ可愛そうになったが、ジョシュアは、アルコールと握り飯に、舌鼓を打つだけ打っておいた。


 軍曹殿とジョシュアが基地につく頃には、あのこぼれた軽油も乾いてしまっているかもしれない。





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