第七章:サライ=マキシーン(3)
部屋の中には奇妙な緊迫感があふれていた。何も知らぬものが見れば、それは外交交渉でもしているような、一触即発の危険な問答に見えたかもしれない。レックハルドは強い口調で訊いた。
「一体、精霊とは何ですか?辺境の異変とやらにどうして手をこまねいているんです!」
サライは、足を組み替えた。
「…辺境の大精霊とは…大いなる大地の母。ここにもたらされた命の雫、つまり素だ。それが、徐々に意思をもち、そして、形をとったもの…それが辺境にいる精霊だ。この世の命を最初に作ったのが、それだったとされているが…そのあたりについては、私もはっきりと知っているわけではない」
「万物のもとっていうことですか?」
「そうともいうかな」
「…それが、あいつらとどう関係するんです?」
「精霊は、グランカランの木に宿る」
サライは言う。
「…グランカランというのは、辺境では結構よく見る木だ。大きく、枝ぶりがいいが、周りの養分を全て取ってしまうような事はしない。葉を広げながらも、下のものに光をちゃんと分けてやっているような木。それが『グランカラン』」
「ええ、知ってます。あいつらが顔に描くアレに使うって言う」
「そうだ、メルヤーにつかう赤い粉『チャーチファスト』をとるのもグランカランの木の実から。あの木には、特別な力が宿るとされている。…だが、本当に大切なのは、辺境の奥、狼人ですら滅多に近寄れない聖域にある大木でな。…『聖グランカラン』または、「マザー」と呼ばれる。なぜ、それが大切なのか。それは、そのグランカランが、精霊が姿をとったものだからだ」
「マザー…?精霊って事は…大地母神…みたいなもんですか?」
「君たちの部族では『大地の女神』と呼んでいるのがそれだな。まぁ、アレには厳密に言って、性別なるものはない。…母と呼ぶのは、人間の主観かな…。それはいいか」
サライは、続ける。
「辺境の狼人の多くは、マザー…その聖グランカランから生まれる」
「ちょ、ちょっと待ってください」
レックハルドは、あまりの唐突な話についていけなくなった。少しぽかんとした顔で、レックハルドは言った。
「……グランカラン…って…あいつら、木から生まれるんですか?」
「知らなかったかな。…大概の狼人もそうだ。…狼人と妖精の結婚は精神的な意味が強い。お互いを支えあうものとして尊敬した時に、彼らは非情な苦難の末に聖域を目指す。そして、新たな命を『マザー』に祈る。そうすれば、その祈りの力をかりて、マザーは新たな命を産み落とす。だからこそ、マザーの感情は、直接に彼らの中に響きやすい。火を恐れるのもそれだ。そして、それを受け取って妖精が育てる。大きくなれば、男の子は狼人の群れの中に。女の子は妖精の中に。…彼らに親子の観念はほとんどと言っていいほどない。…皆がマザーの子どもであり、皆が兄弟だからな。だから、ファルケンが言っただろう。『家族』というものはない、と」
「え、ええ…確かに」
(そりゃあそうだけどよお…)
いきなり常識を超えた答えにレックハルドは、戸惑った。そして、同時に何となく納得もしてしまったのである。ファルケンのあの世俗離れした感覚を思えば、それも当然なのかもしれないと。
「とはいえ、辺境の精霊の力があまりにも弱く、辺境が危機にさらされた場合には、彼らも人間と同じように子孫を残す事もあり、親が直接子どもを育てる事もある。…まぁこれは例外だ。時に、人と恋に落ちるものもいるが、それも例外だな…。当然というか…ファルケンは木から生まれた組でな。…それゆえ、恋愛だの親子だのという観念をなかなか理解しないだろう?」
「ええ。それはもう」
レックハルドは、ファルケンが恋愛などについて、まったく理解していない理由がよくわかった。
「大概の狼人はそんなもんだな」
サライは言って少しだけ微笑んだ。しかし、すぐに真剣な顔に戻る。
「…君は蟻か蜂の生態を知っているかね?」
「え、ええ。まぁ、何でしたっけ。女王がいて、それの子ども達がその女王を守るって言う…」
「そうだ。辺境の狼人、妖精と精霊のかかわりは正にそれなのだ」
サライは腕をくみながら言った。
「命を生み出してもらう代わりに、彼らは一生を辺境に縛られる。精霊を守るために、無条件に命を差し出さなければならないし、それの意思に反する事は許されない。精霊の言う言葉は絶対であり、それに逆らう事は許されない。逆らえば、体の一部か、…もしくは命を失う。それほど強い『契約』がそこには存在している。精霊の意思を聞き、それを実行しているのが『司祭
』だ。ファルケンたち、精霊を守るものは、兵隊階級、『ビーティア』と呼ばれ、スーシャーに管理される側になる。…この司祭
(
が少しやりすぎのところがあるんだがな」
「…あいつを追い出したのは…そのスーシャーなんですか?」
レックハルドは、煌く目を彼にまっすぐに向けた。やせてひょろりとした感じの取り立てて目だったところのない、少し目の細いだけ青年に、よくこれだけの力があるものだ。と思わせるような強い視線だった。砂漠と草原の不毛な大地に生きるものに特有の強い眼差し。金と街にまみれたようなレックハルドにも、こんな純粋な輝きが残っていた事に、サライは少し驚嘆した。サライは、少し目を閉じる。
「そういえば、そうかな。…司祭
(
は、精霊の言葉に過剰に反応する…。彼ら、六人ずつ。狼人と妖精の実力者でなりたっているが、どうも他の狼人などとタイプが違う。話して通じるタイプではないのだよ」
そして、サライはうっすらと目を開け、どこか遠いが鋭い視線を向けた。
「…ファルケンは…、マザーにとっては失敗作だった」
レックハルドは、硬い表情を更にこわばらせた。
「…まさか、あれほど忌み嫌っている火を平気で扱える子どもが生まれてしまうとは……。だから、マザーの意思を受けて、司祭
(
は、子どものファルケンを辺境から追い出した」
「でも、自分の子どもじゃあ…」
レックハルドは言いかけてやめた。自分もあまり変わらない身分じゃないかという気がしたのである。孤児のレックハルドは、両親の顔も覚えていない。思い出せる一番古い記憶は、一面に広がる乾いた大地ぐらいだった。
「でも…失敗作って……そんなこと…、おかしいじゃないですか…だって…」
レックハルドは言い直したが、何を言えばいいのかわからなくなり口をつぐむ。
「精霊が不安定な証拠かもしれないがな」
サライの言葉は素っ気ない。
「…つまり…どういうことです?」
レックハルドは、静かにきいた。
「辺境の異変…。君も日蝕を見ただろう?あれは、明らかに精霊が怯えている証拠だ。これから何か凶事が起こる。その前触れ」
サライは答え、茶を口に含ませた。それを見て、レックハルドもようやく気づく。唇がからからに乾いていた。彼も同じくカップを取った。茶が少し苦かったのは、別にその茶の味が悪いからではなかった。
暴れるダルシュを遠巻きに眺めながら、慌ててシェイザスをかかえて逃げ出したファルケンは、矢に追われて必死で逃げていた。
「ダルシュダルシュ!もうあきらめて逃げよう!」
そういっている間にも、ファルケンの足の間にスカーンと矢が刺さる。
「わ!」
「あいつをおいてきなさい」
シェイザスが迷惑そうに頭を抱えた。ファルケンに小脇に抱えられているシェイザスは、横から見れば、神話時代の美術にでもありそうな、略奪される女神のように見えた。
「でも、それはまずいだろ?」
「大丈夫よ。あいつ、死なないだろうし」
シェイザスは、ダルシュを信用しているのか、それともどうでもいいのか。それとも、本当にダルシュは不死身なのか。おいていっていいものか、ファルケンはううむと首をかしげる。
いきなり、彼の髪の毛をかすって、矢が目の前に飛んでいった。さすがにびくっとして、ファルケンは後ろを向く。かすって切れた髪の毛が、ぱらぱらと風に飛んでいった。
睨んだつもりはなかったが、相手にとっては睨まれたと思ったのだろうか。後ろを向くと、弓を射っていた連中がひるんで手を止めた。確かにファルケンの目は鋭く、そうしているとなかなか凛々しいものがあった。
「そうしてるとあなたも意外といい男よね〜。もったいないわ」
シェイザスが呟いてくすりとする。
狼人には美形が多いが、例によって喋るとイメージダウンが激しいのが普通だと言われている。ファルケンは割りとその中でも珍しい容貌だったが、それでも男前には変わりない。この辺りは好みの差が出そうだなとシェイザスはのんきにも思った。
それをききつけて、ファルケンは間の抜けた顔で彼女を見た。
「なんかいった?」
「…前言撤回」
さっきの顔で固まってくれてれば、観賞用には最適なのに。とシェイザスはため息をついた。
「ダルシュー!撤退!撤退!オレたち、もう逃げるから!」
ファルケンが叫ぶ。それがようやくダルシュの耳に達したのか、彼はあきらめてこちらをみた。そして、そのまま、ちょうど飛びかかってきていた兵士を見事な回し蹴りで飛ばすと、一目散に走り出した。
逃げおおせて、街の外れまでいくとようやく三人は息をついた。…といっても、実質走ったのは、ダルシュとそれからシェイザスを抱えたファルケンなので、シェイザスは疲れる必要がなかったわけだが…。降ろされたシェイザスは、そのお陰で一番疲れていなかった。
「全く!」
シェイザスは、きっと眉を吊り上げた。今更ながらに、無茶な行動をとったダルシュに怒りがわいたのだろうか。
「あなたのせいで、私の作ってきたコネが台無しじゃない。もうしばらくあそこにはいけないわね」
ダルシュは、むっとした顔をして、シェイザスを睨んだ。ダルシュは、顔を背けながら言い訳する子どものような口調で言った。
「…あ、あいつが…お前に無理に結婚を迫ってたから…な、なんか…その…」
「助けてくれとは頼んでないわ」
冷ややかなシェイザスの返答に、ダルシュはきっと視線を上げる。
「何だよ…!オレだって、ただな!」
「ダルシュ…」
ファルケンが外野ながらに、どうこの険悪な状況を納めるべきかを図っていた。だが、仲裁には入れるが、仲裁に入って成功したためしがあまりないファルケンにとって、このいきなりの実戦はあまりにも手ごわかった。
(ど、どうしよう…。なんか、すごくなってきたな。)
シェイザスは、右手で束ねていた黒髪を首の後ろで跳ね上げた。
「あぁいう男の取り扱いぐらい、私は十分しってるわよ」
「な、なんだよっ!その言い方は!」
ダルシュは、思わずカッとなった。
「はん、なんだよ!いつの間に、お前、そんなふしだらな女になったんだ!?」
「ふしだら!?あなた、そんなこと本気で言ってるの!?」
きっとシェイザスは、ダルシュを睨んだ。綺麗な顔だけに、妙に迫力がある。ダルシュは、少しヤケになった。
「おお!何度でも言ってやるぜ!ふしだらのこんなあばずれによお!入れあげる馬鹿がいるってのが奇跡だなぁ!」
ダルシュは視線を空の方に向けながら、わざわざ大声で言う。
「…馬鹿!」
シェイザスがぴしりとした声で言った。
「何にもわかってないくせに!」
ダルシュは、肩をすくめて彼女の怒りを流した。いや、本当は流す事もできなかったのだが、そういうふりをしたのである。証拠に、目には冷静さのかけらも見当たらなかった。
「お前なんか助けて損したぜ!けっ!じゃあ、もう一回戻って勝手に結婚でも何でもすりゃいいだろ!あぁ、オレは清々するね!」
ダルシュはそう吐き捨て、一度だけシェイザスをにらみつけた。それから、こう怒鳴った。
「馬鹿野郎はお前だろ!」
そして、地面を蹴りつけた。そのまま、彼は、どんどん遠くへと走り去っていった。
シェイザスは、少し怒ったような顔をして、その場に立ち、ダルシュの背中を見送っていた。やけになっているのか、ダルシュの走るスピードもかなり速かった。
「シェイザス…」
不意に、遠慮がちな声が割り込んできて、シェイザスはそちらを振り返った。ファルケンが、どうしたものか、ためらいながら声をかけてきていた。
「シェイザス、ダルシュは、シェイザスを助けようとしてたんだぞ。ひどい事いったけど、でも、…それって…」
ファルケンが遠慮しながらもそういってきたので、シェイザスはくすりとした。先程まで、あんな顔をしていたのに、シェイザスはもういつもの…、正確にはいつもよりも晴れ晴れとした顔をしていた。
「ええ、知ってるわよ。あいつの性格はよく知っているもの」
ファルケンは、その応えに驚いた。
「なのに、怒ったのか?」
「別に、私は怒ってなんかいないわ」
シェイザスはそういうと、長い髪を束ねていたピンを抜いた。さっと黒い髪が流れる。
「え?でも、さっき、喧嘩してたのに」
ファルケンが眉をひそめた。意味がわからない。
「うふふ、そうよねえ。あなたも、なんだかんだ言って男の内だもの。一生わからないかのしれないわね」
「?」
シェイザスは、怪訝そうにこちらを覗き込むファルケンに向かって微笑んだ。
「あいつが、助けてくれたのは、ちょっと嬉しかったわよ」
「うれしいのに、怒ったのか?」
「そういう事があるのよ。女の子の心ってのはなかなか難しいものなの」
シェイザスは、意味ありげにくすりとした。ファルケンは首をかしげる。
「オレにはわからないよ」
「じゃあ、わからなくてもいいわ。あなたは器用な方じゃないものね」
にこりとシェイザスは微笑んだ。そして、少しだけ意地悪ぽくいった。
「でも、あなたは女難の相が出てるわよ。…気をつけなさい」
「じょ、じょなん?」
何の事だかわかっていないようだったが、ファルケンは不安そうにつぶやいて後退した。女難の意味がわからなくても、いい事ではないことだけは十分にわかる。
「な、なんだそれ」
「それが、わかってないってことよ」
シェイザスはいい、それから彼の追及を阻止するように話を変えた。
「それはそうと、何の用があったの?」
ファルケンは、ようやく本来の目的を思い出して言った。
「あ、あぁ、人を探して欲しいんだ」
「人?」
「正確に言うと、狼人。…レナル=ロン=タナリー。
銅鈴
(
のレナルっていう、狼人のグループのリーダーだ。あいつ、すぐあっちこっち行っちゃってどこにいるかわかんないんだ」
「なるほどね。それで私を探してたのね」
シェイザスは、にっとした。
「占ってくれるか?」
「ええ、いいわよ。ただし…」
ファルケンは困った顔をした。レックハルドから話を聞かされていたのだ。彼女は、噂話をきくのがとても好きだと。「お前も気をつけろ!魂吸い取られそうなほど話をねだられるぞ!」と、レックハルドが、真剣な顔で言っていたのを思い出す。
「ただし?レックが言ってたような話はオレはできないよ。…噂話しらないし」
「いいわよ〜…。あなたにそれは求めてないもの〜。ただ、守護輪がほしいんだけど」
ファルケンは、意外そうな顔をした。
「…オレの守護輪は……なんていうか、魔力加減が悪いよ」
守護輪というのは、ファルケンが、レックハルドやマリスにあげた例のお守りのように数珠のような形につくった腕輪の総称である。いくつか種類があり、友人のみに守りとして渡すものもあれば、単なる装飾として渡すものもある。だが、飾りでも守りほどではないが、かすかにまじないをかけて作るものであり、その価値は見た目の美しさよりも、そこにかけられた魔力の力の大きさによった。
といえ、守護輪をそうして扱うのは、魔力に詳しい人間と狼人や妖精たちだけで、他の人間は、見た目の美しさを重視するのだが…。
「飾りの方でいいのよ。アクセサリー代わりに使うから」
「じゃあいいよ。この前作ってた分がちょっとあったかな」
ファルケンは、麻袋を探って五つほどの守護輪を取り出した。緑の石や青い石を連ねたり、木の実を連ねてつくったものだが、羽はついていなかった。ただ、例の金属のプレートだけはついていて、とがったもので削ったらしい文字らしいものがみえた。
辺境の古代文字だということがわかれば、そこに『この者の身を守らしむ事を』と刻まれている事が読めただろう。
「今はこれだけしか作ってないよ」
好きなのを選べというのだろう。ファルケンは、それを差し出した。
大体の狼人がそうだが、守護輪は単に趣味の一環として作る場合が多い。ファルケンも単なる暇つぶしに作っていたらしいが、金属のプレートを平気で扱うところがファルケンの特徴でもあった。魔力のバランスが悪く、まじないが完全ではないが、辺境の中では、こうして金属をちらつかせて歩けば、たいていの獣は寄ってこない。人間にとっては、ファルケンのお守りの方が厄除けにはいいかもしれない。
「どれにしようかしらね〜」
シェイザスは、あれこれ手に取り始めた。意外にファルケンは器用なので、その守護輪もかなり完成度が高かった。
「どれがお勧め?」
「…お、おすすめっていわれても……」
お勧めとか言われても困るのである。レックハルドじゃあるまいし。とファルケンは、頭をかいた。レックハルドなら、こういうとき、蜜のように甘い言葉で「お嬢さん、あなたにはこの色が最高です。これを逃せば、後悔しますよ!」などといえるのだろうが、ファルケンは、そういうおだてができなかった。言えても棒読みになるので、単に怪しくなるだけである。
「まぁ、つまんないわね〜。…じゃあ、どれが一番魔除けにいいの?」
「あぁそれならわかるよ」
シェイザスが質問を変えてくれて、ファルケンはようやく居場所を見つけたような顔をした。
「…この紫のやつかな〜…。たぶん紫水晶っていうやつだとおもうんだけど、それを繋いでみたんだ〜。もともとこの石には、力があるみたいだし、オレでも簡単に魔力を集められるから」
「なるほどねえ、…高価じゃないの?これ」
「そうなのか?…拾っただけだからなあ」
ファルケンは宝石の相場には疎いようだ。傍にいるあの商人がいたら、さぞかし、あきれ返るだろうなとシェイザスは思った。
「あなたは金銭感覚に問題があるわねえ」
「でも、…オレ…、他の連中よりは、常識を心得てるって言われるよ?」
ファルケンは応えて考え込んだ。高価なものだとしたら、ここでシェイザスにプレゼントをしたら、レックハルドがひどく怒るのではないだろうか。不安になり、ファルケンはそっとシェイザスに訊いてみた。
「これが高価だとしたら、レックがすごく怒るかな…。シェイザスにあげたら」
紫水晶でつくったものは、それしかない。
「…多分ね。すーごく怒るんじゃない」
シェイザスはため息混じりに応えたが、だからといって、それをあきらめるほどのお人よしではない。それをじゃらりと手にはめながら、彼女はにっこりと美しく微笑んだ。
「これもお勉強…たっぷりと絞られなさい」
そんな…と言いたげな顔をしたが、ファルケンはシェイザスからそれを取りかえそうとはしなかった。