聞きとがめて聞き返してきた軍曹殿に、ジョシュアは、しゃあしゃあと前のほうを指差した。向こうには、ちらほらと街の灯が見えていた。小さいながらに集落があるようだ。
「あそこだな。うむ。これで任務達成だな」
軍曹殿は、ジョシュアになにか言われたことを忘れて、もう一走りだ! と声を上げた。
満月の夜、月のウサギを送られた恋人が、どういう顔をするのか。あの青年の様子だと、きっと、彼女は喜ぶに違いない。ジョシュアは、柄になくそんなことを考えた。
妙に穏やかな月の光が、ジョシュアにそんなことを考えさせたに違いない。
軍曹殿とジョシュアが基地につく頃には、シティの異常な満月でも、優しく感じられるようになるのかもしれない。
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